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Talks vol.1

4Nature代表 平間亮太さん

SDGs TALKSは、SDGsに関わる有識者の方をお招きして対談を行うシリーズ企画です。記念すべき第⼀回⽬のゲストは、株式会社4Nature 代表の平間亮太さん。平間さんは4Natureの代表として、「ビジネスの力でバランスの取れた優しい世の中に」をミッションに掲げ、“資源循環”と“地域循環”のアプローチから事業を推進されています。

サーキュラーエコノミー(循環型経済)の面白さは、人と人の繋がり。

高橋 : 平間さん、本日はお忙しいところお時間頂き、ありがとうございます。早速本題に入りますが、平間さんはどういった経緯で4Nature を立ち上げられたんですか?

平間さん : 前職では信託銀行に勤めていましたが、小さいころから自分で会社を立ち上げたいという気持ちがあった為、海外にMBAを取得しようと退職しました。
いざ、MBAを目指す上では、実際に自分でビジネスをやっていた方が捗ると考えていたところ、天然由来のサトウキビストローに出会い、事業としてスタートすることにしました。
その後、様々な方との出会いを通じて、モノを売るだけにとどまることなく、サーキュラーエコノミーに興味をもつようになっていきました。
サーキュラーエコノミーは、次の人に丁寧にバトンパスをしなければいけない、今のゴミはポイっと捨てれば、次の人が処理してくれていますが、サーキュラーエコノミーは次の人にちゃんとした形でパスしてあげないと次の人が再利用できないんです。 その為、必ずコミュニケーションが必要になるから、人と人の繋がりが面白いんです。 そうした繋がりが付加価値として、もしかしたらビジネスとしても持続性があるのでは考えています。

高橋 : 実際に使ってみていかがでしたか?

平間さん : 本当に助けられました。濡れて冷たくなることもあまりなく、いつもドライで暖かい。機能性を実感して、買い替えたりしながら20年以上愛用してきました。

高橋 : それ以前はどんな靴下をはいていたのですか?

平間さん : はっきりとは覚えていないのですが、ウール100%の靴下をはいていたのかな。ただ重いし、チクチクごわごわとしていて。スマートウールは優しい肌触りなのに、同じくらい保温性があって驚いた記憶があります。

高橋 : ウールがチクチクする原因というのは繊維の太さ。スマートウールが使っているメリノウールは肌着にも使えるような極細の毛なのでチクチクしないんですよ。

大事なのは『美味しい、かっこいい』、心躍ること。

高橋 : サーキュラーエコノミーは、次の人にバトンを繋ぐうえでも共感が必要ですよね?

平間さん : 必要だと思います。その上で最も大事だと思うのは、食べることなら美味しい、ファッションならかっこいい、そこに心躍らないと誰もいいと言ってくれないと思います。その背景に、サスティナビリティがあることが重要だと思います。そこが欠落してしまう取組はあるかもしれませんね。

高橋 : その通りだと思います。SDGs、サスティナビリティのお仕着せでプロダクトを開発してしまう為、売れず、逆にゴミをつくってしまう悪循環が生まれています。おそらく、どこの企業も社内の共感を生むことが課題なのかもしれません。

平間さん : 今は、一般の方も様々な情報を簡単に入手できる環境下にある為、企業が片手間でやっていることが通用しなくなっていると思いますし、グリーンウォッシュだと批判されてしまうケースもある為、やりづらいけど、ちゃんと取り組まないといけないのではと考えています。

高橋 : 後半は、ぜひ弊社の取り組みを3つご紹介させてください。
1つ目は、おのくん。です。
おのくんは、2011年の東日本大震災で甚大な被害があった、宮城県東松島市の「小野駅前応急仮設住宅」に避難していたお母さんたちが、当時支援物資の中で余っていた靴下をもとに、ひとつずつ手縫いでつくっているぬいぐるみです。 私がプライベートで訪れたショッピングモールでイベントをされていたのをきっかけに、おのくんを知りました。 靴下からできていることに興味をもち、直接おのくんの事務所に問い合わせをしたところ、靴下をわざわざ購入されてぬいぐるみをつくられていたことを知り、弊社で何かご協力できないか、ということを考えたところ、展示会などで使用したサンプルを寄贈することを決めました。 この活動は不定期になりますが、8年程度続いている活動です。
先日、SDGsの取り組み強化として、靴下工場で廃棄される残糸で靴下を編み、寄贈しました。今後もこうした活動は続けていきたいと考えています。

「おのくん」
宮城県東松島市の主婦らがひとつずつ手縫いで作っている、サルがモチーフのキャラクターのぬいぐるみ。東日本大震災からの復興への願いがこめられています。

高橋 : 2つ目は、残糸すら出さない取り組み、靴下専用の360度プリントができるインクジェットプリンター『GINGA』です。
従来、靴下は染色された糸を編み立てて製造されますが、このGINGAを使用すると、染色工程は一切不要になります。
また、柄がある靴下の場合、柄の色の数だけ染色された糸が必要ですが、GINGAはプリントで柄をつくる為、糸のロスがありません。
靴下の製造時における2つの問題である、【染色時に使用する大量の水を削減すること】、【柄糸のロスをなくすこと】を解決できると確信しています。
今後、さらに多くの皆様に知っていただけるよう、今年9月にBanksyとコラボした、HOTSOX x Banksyのアイテムをローンチ予定です。

今年の9月にローンチ予定のGINGAを使用してつくられたHOTSOX × Banksyのアイテム。

高橋 : 3つ目は、リサイクルペットボトルからつくられたポリエステルの起用です。
以前は高価だったリサイクルペットボトルからつくられた糸ですが、糸値が多少安価になったことからすぐに使用を決定致しました。サラッとした肌触りで履き心地も優れています。

弊社のライセンスブランド、GRAMICCIの一部商品ラインナップにはリサイクルペットボトルからつくられたポリエステルを使用しています。

最も大事にしたいのは、価値観の転用

高橋 : 当社の紹介は以上になります。ぜひ、最後に今後の4Natureさんの将来的なビジョンについて、お聞かせいただけますか。

平間さん : 我々は様々な事業を行っておりますが、大事にしたいのは、価値観の転用だと思っています。例えば(仮)CSAループでは、我々が提供している価値は、社会寛容性だと思っています。
先払いをしているということは、購入者にモノが提供できない可能性があるリスクを背負ってもらう、それは、過去のビジネスでは絶対にありえないこと、許されないことだと思うんです。
購入者が、知ってる農家さんだから、農家さんってそういうものだよね、という理解のもと許容してもらうことが必要になってきます。

そうしたことをカルチャーとして、一部の人々がやり始めることによって、そういう価値観もあるよね、と社会全体に根付いていくこと、そうした価値観が生まれてくることは非常に良いことだと思っています。
日本における、クレームリスクを軽減する過剰包装、形がいびつな規格外野菜の販売など価値観が大きく変わる可能性があると思っていて、そこを狙っていきたいです。
ただ、そこが大衆化してくると、我々のビジネスがなくなる可能性が起こりえると思っています。
我々はコミュニケーションや価値観の転用を支えているからこそ、ビジネスとして成り立っています。
我々はそれを目指していますし、その先に次のことを仕掛けていき、価値を生み続けていきたいです。